特集コラム

Column 2 荻窪ラーメン

荻窪ラーメン
2011/06/07

春木家本店

なんと創業80年!地元とともに歩んできた、東京最古のラーメン屋さん

荻窪駅北口を出て青梅街道から左に折れ、住宅街が続く細い道をしばし歩いていると、ラーメンの写真の大きな広告旗がばん、が目に入る。
おお、ここが春木家本店か、と思う。

春木家本店は昭和6年創業、東京ラーメンを出すお店としては最も古い歴史を持つ。
メニューにはラーメンのだけではなく、そばやカレー、カツ丼や天丼などが並び、「町のお蕎麦屋さん」そのものといった感じである。
荻窪ラーメンの超有名店「春木屋」は、本店の「ラーメン専門部門」として昭和24年に創業したという。

「おもてなしの心」が随所に感じられる

店に入り、座るとすぐに水が出される。なんとレモンの味がする。
アルカリ性のミネラルウォーターに、女将さんが工夫をされて、レモンを入れたそうだ。口の中がさっぱりとして、ほっとした気持ちになる。ちなみにお通しの水だけでなく、全ての料理にそのアルカリ性のミネラルウォーターが使われているそうだ。素晴らしい!

お目当ての塩ラーメン(900円)を注文すると、女将さんが「麺の固さと、スープの濃さはいかがいたしますか?」ときいてくれる。一人ひとりの好みに合わせて調節するそうだ。

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ラーメンが茹で上がる前に、付け合せの小皿と調味料が出された。小皿の上には小エビの唐揚げとわさび、海苔、梅干が乗っている。調味料は原了郭の黒七味!
原了郭といえば、京都祇園の老舗の高級七味屋さんである。なんというグルメな!胸がときめいてくる。
小皿の上の小エビをつまみにビールを飲みたい気持ちをぐっとこらえつつ待つ。来ました! 澄んだ黄金色のスープに炙りチャーシュー、白髪葱、針唐辛子の乗った美しいたたずまいの塩ラーメン!

この塩ラーメン、ただものではない!

スープを一口すすると、ラーメンのスープというよりは、上質のチキンスープのような、洋風の味わいがする。春木家本店で出している昔ながらの中華そば(680円)とは、スープも麺も全く違うとのこと。注文した塩ラーメンにはゲランドの塩とイタリアの岩塩を使い、なんと隠し味に白トリュフが使われているそうだ。これにはびっくり!
自家製の麺は加水率44パーセントの多加水麺で、固めでも柔らかめでもおいしくいただけるそうだ。

半分ほどラーメンを食べた後で、黒七味を投入。パンチのきいた黒胡麻や山椒の風味が加わり、不思議とスープが本来持つ輪郭がくっきりとしてくる。さらにわさびと海苔と梅干を投入。これって何かに似ている、と思った。そう、「お茶漬け」だ。洋風のスープでありながら、日本人のDNAにしみじみとうったえかけてくる。この塩ラーメンはかなりの傑作だ、と思う。

粋な3代目、伝統を守りつつも自らのセンスで新しい風を

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こんなオシャレなラーメンを考案した3代目のご主人、かなり洒脱なお人柄で話が楽しく、すっかりファンになってしまった。女将さんの心づくしのもてなしも素晴らしく、本当に素敵な店だった。
ちなみに、6月3日からは創業80年のお祝いということで、ご来店・ご注文のお客様にはもれなくミニ・カレーライスがプレゼントされる。年末までプレゼントは継続ということなので、この機会にぜひ足を運ばれたい。

春木家本店
http://harukiyahonten.jp/
住所:東京都杉並区天沼2-5-24
電話:0120-050-708
営業時間:11:00-21:00(ラストオーダー 20:30)
(出前時間:11:00-20:00)
定休日:木曜日

文・取材 / 海風美保子

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