特集コラム

Column 3 荻窪名所探訪

2011/03/04

天沼熊野神社

文化と歴史の街・杉並。区内を流れる川の流域には三万年前の遺跡が発見されています。現在でも、勾配のある道や神社の森など、武蔵野台地のなどりを名残をしのばせる豊かな街並みが残っています。

杉並区も含まれる地が武蔵国と呼ばれた奈良時代には、府中に国府が置かれ、武蔵国の国府から豊島や下総国へ続く道が区内を通っていたと考えられています。杉並は、豊かな農村や、文士が集う街として栄え、震災・区画整理・鉄道の敷設らをへて、現在の人間と自然が共生する街につながっています。

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JR荻窪駅から、駅周辺にある民間信仰石塔をたどり、下井草方面へ向かうと、天沼熊野神社の鳥居が見えます。かたわらには、夫婦円満と良縁祈願の道祖神がまつられ、道祖神の奥には、末社である白玉稲荷神社のお社があります。道祖神は平成14年(2002)に鎮座されました。
保食神がまつられている白玉稲荷神社の鎮座は大正9年(1920)。道祖神も、お稲荷様も、天沼熊野神社前の道を向いており、通りを歩く人たちを見守っています。

天沼熊野神社の創建は、奈良時代と伝えられています。都から派遣された東海道巡察使が、天沼と豊島の二駅を宿場と定め都へ帰る際に、氏神様を勧請したことがはじまりといわれています。
また、一説には、元弘3年(1333)、鎌倉へ向かう新田義貞が陣を敷き、天沼熊野神社の社殿を造営したとも伝わっています。天沼熊野神社は、かつては「十二所権現社」と記されていましたが、明治時代に「熊野神社」と改称され、天沼村の村社になりました。

天沼熊野神社には、「心願成就の杉」がまつられています。これは、かつて社殿の前に立っていた直径2メートルと言われる杉の大木の根っこの部分です。戦勝を祈願する新田義貞が手植えしたと伝えられ、鎌倉へ向かった新田義貞が幕府軍に勝利したことから、「心願成就の杉」「出世杉」と名づけられました。しかし、枯れてしまったため、昭和21年(1946)に切り倒されました。境内には切り株だけが残り、それが掘り出されたのが「心願成就の杉」です。

「心願成就の杉」のそばには、氏神様の前で行う神事の際に使われた「力石」も、稲荷神社・須賀神社・三峯神社の三社とともにまつられています。

天沼熊野神社
http://www.amanumakumano.org/
住所:東京都杉並区天沼2-40-2
連絡:電話03-3220-7866・FAX03-3220-7866

文・取材 / 竹内みちまろ

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