特集コラム

Column 8 荻窪音楽祭

荻窪音楽祭
2011/05/17

東日本大震災復興支援「第23回荻窪音楽祭」

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「クラシック音楽を楽しむ街・荻窪」の会が主催する「第23回荻窪音楽祭」が、5月13日から15日までの三日間開催されました。

「荻窪音楽祭」は、音楽を通じて荻窪の街づくりや街の活性化を目的として、毎年春と秋の2回行われる荻窪の一大イベントであり、風物詩の一つとして定着しています。

文学や音楽の街・荻窪

荻窪と言えばラーメンを連想する人も少なくないとは思いますが、荻窪は戦前から多くの作家や画家などがこの地に居を構え、荻窪文化を形成していた街でもあります。当時の様子は天沼に住んでいた井伏鱒二の「荻窪風土記」にも詳細に描かれています。井伏を中心とした「阿佐ヶ谷会」という文士グループには、太宰治や横光利一といったメンバーが集まり、現在、南荻窪中央公園となっている場所には与謝野鉄幹・晶子夫妻も住んでいました。

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また、今回の音楽祭でも演奏会場の一つとして利用される杉並区立大田区黒公園は、音楽評論家である大田黒元雄の屋敷跡を公園として整備し開放している公園。
池や日本庭園散策も楽しめる園内には、マホガニー仕上げのスタインウェイのピアノやウィリー社製の蓄音機が置かれている「大田黒記念館」もあり、15日の13時20分からと15時10分からの2回、無料のスプリングコンサートが実施されました。

さらに、荻窪のクラシック音楽の殿堂である「杉並公会堂」はもちろん、荻窪にはクラシックを楽しめるホールやライブカフェ、名曲喫茶、教会、音響設備も良いギャラリーなども多数点在しているので、会場に事欠くことはありません。

被災地への想いを歌に乗せ…

「第23回荻窪音楽祭」ではそういった“荻窪文化の発信”という要素に加えて、杉並区と災害時相互援助協定を締結している南相馬市をはじめ、東日本大震災の被災地へのチャリティー募金を積極的に行うためのイベントとなりました。

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各会場で演奏を行う前には、進行担当者やグループの代表者によって、被災地への想いが語られ、それぞれの演奏にもその想いはのせていたように思われます。
パンフレットに掲載された選曲から変更になったものもありましたが、それらの曲の多くは聴く人たちに勇気と希望を与えてくれるものでした。

中には、演奏に合わせて観客も一緒に歌う参加型コンサートもあり、中でも東日本大震災の復興ソング「上を向いて歩こう」を意外なほどに大きな声で歌う観客の姿を見るにつけ、「荻窪音楽祭」に象徴される荻窪文化の高さを実感すると共に、被災地に対する想いの強さに胸を打たれました。

文・取材 / 丸山美智子

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